突撃インタビュー

木構造システム建築による大空間施設の実現を提案

これまで鋼骨造による大空間を提案してきた株式会社コアが、木構造での大空間施設の世界に乗り出してきました。
そこには、どのような判断があったのでしょうか。
木構造で、株式会社コアのキャッチフレーズである“無柱空間”は、どのような経緯で、どのような原理で実現に至ったのか。その取り組みの全貌について会長の八島紘一が、答えてくれます。ますます可愛いくも舌鋒鋭いコア子ちゃんと会長・八島のおちゃめなやり取りが再び始まりました。

コア子ちゃん

コア子ちゃん

この間まで可愛らしさが売りの大学生が、今や経営学を専攻する大学院へと進み、女子学生というより研究者へと成長している。
父親の事業も急成長で、第一工場はCORE-SYS建築で竣工。その後、第二工場を建設する方向となり、それをきっかけに木構造システム建築に興味を持つ。
かわいらしいルックスとは裏腹に好奇心旺盛で、新しい知識を吸収することに貪欲な女の子である。リアクションの大きさとテンション高さには相変わらず定評あり。

八島紘一

八島紘一

株式会社コアの会長。 一級建築施工管理技士の資格を持つコアシス建築の立案者であるが、この度、株式会社コア代表取締役をあっさり息子に譲り、本人は木構造建築の提案・監理集団である(合)ウッドコアを設立して、代表社員となっている。
コア子ちゃんの叔父にあたる。
一代で株式会社コアを築き上げたコワモテの職人肌タイプの男だが、相変わらずコア子ちゃんとのやり取りでは終始圧倒され気味のようだ。

株式会社コアの第二弾・木構造システム建築で “生産空間の追求・提案”

コア子ちゃん

叔父様、こんにちは!
今度また、新しいことに取り組むって、
本当ですか?

また!ではないよ。
鋼構造を卒業して、木構造に進んだということだよ。
コア子ちゃんが大学から、大学院に進学したのと同じだよ。

八島紘一

コア子ちゃん

○✕△!?!
なんか違う気がするけど…

20世紀から21世紀初頭にかけては鉄とコンクリートの時代だった。そして、建築の世界では、コアが、システム建築で“中柱なし60mの無柱空間”が当たり前という時代を作り上げた。
でも、鉄を作るために石油は浪費され、地球上には熱と公害が撒き散らされる。21世紀も四分の一が経過しようとしているのに、地球温暖化は止まらない。北極から海氷が消えて行き、白熊が痩せてゆく。これでいいのだろうか、と考えてたんだよ。
だけど、よく見てごらん。他方で、自然回帰の動きとして、既に、木構造建築技術が、鉄に負けない無柱空間の世界を築き始めているのを!

八島紘一

コア子ちゃん

知ってるよ。「新国立競技場」が、木材を主材として採用してることでしょ。その設計者の隈研吾さんが、「大きな建物は鉄とコンクリートで造るという20世紀の常識を壊したい」って言ってた、って。

ガクッ!それは、私が言いたかったのに…

八島紘一

コア子ちゃん

そうだったの?
ご苦労様。

実は、隈研吾先生の、その言葉に突き動かされて“ウッドコア”が、誕生したんだよ。現時点では、木構造の無柱空間は柱スパン40mまでだけど、50mスパン実現はもう眼の前。ここまで来れば、もう実用と普及の段階として十分の実力と言えるでしょ?

八島紘一

コア子ちゃん

そうなの?びっくり!
知らなかったな。
それにしては、社会的認知度が、ずいぶん低いんじゃない?

そうなんだ。
そこには、木構造に対する世間の、様々な誤解があるんだよ。
今まさに、その誤解を解き、木構造システム建築の社会的認知度を、一気に上げて行こうというのが、“ウッドコア”の使命という訳さ!

八島紘一

コア子ちゃん

それで、
“ウッドコア”の木構造システム建築の特徴って、どういうところにあるんですか?

まず、木材は、鉄に比べて軽いということが最大のメリットなんだよ。
準耐火建築程度の木構造建築であれば床面積あたりの重量は、鋼骨造の三分の一程度で収まるんだよ。
結果として、殆どの場合で、杭工事や柱状地盤改良は必要なくなる。基礎形状も、鉄骨の場合の独立基礎と比較すると、住宅でよく使われる布基礎といわれる形状なので、鉄骨造と比較すると経済性はかなり高いと言えるね。
木構造システム建築の場合は、地面の下から数百万円のコストメリットが湧き出てくることになるんだよ。

八島紘一

コア子ちゃん

それって、スゴイことじゃん!
成程ね!ところで、木構造システム建築の“軽さ”のメリットは理解したけど、鉄に比べて木材は、強度がないと思うけど、そこはどうなの?

おっとー!
鋭い突っ込みと言いたいけど、実はお待ちしていました、
っていうところだね!そこはビクともしないのが“ウッドコア”なんだよ。

八島紘一

コア子ちゃん

アー、早く言って!
叔父様の語り口は、相変わらずジレるのよね。
(身を揉むコア子ちゃん)

さっき、コア子ちゃんは、木は鉄に比べて強度がないといったね。
ところがそうじゃないんだよ!先程も言ったように、木は、建築に用いられる鉄やコンクリートの構造材と比べて、圧倒的な軽さを誇っている。
だけど、木と鉄・コンクリートを同じ重さで比較すると、引張力で鉄の約2倍、コンクリートの約7倍の強度があるんだよ。木は、構造材としも、鉄やコンクリートに比較して、決して劣ってはいなかったんだよ。

八島紘一

コア子ちゃん

ゴメンナサイ!
さっきの明らかに強度がないと言ったのは訂正します。逆に言うと、木材と同じ強度を出すには、鉄は二倍の鉄料が要るし、コンクリートだったら7倍の材料が要るという意味なのね。よくわかったわ、木の高い潜在能力!

この木の特徴に着目して、鋼構造にはない構造原理を活用しようとしているのがウッドコアと、その発案者であるATAだったんだよ。
ここまでわかったところで、ATAとウッドコアの作品集を見てごらん。
施工事例をクリックしてください。)
なにか気が付いことがあったら言ってごらん。

八島紘一

コア子ちゃん

大開口30mの無柱空間が素晴らしいわ。
木の香が漂ってきそうね。

木の香の話は、あとでたっぷり聞くとして、屋根を支える梁の構造に注目してごらん。(施工事例をクリックしてください。)

八島紘一

コア子ちゃん

全ての梁の下に、鉄の棒が張られているよ。

よく気がついたね!それが木構造システム建築としてのウッドコア&ATAハイブリット工法の要なんだよ。
つまり、屋根にかかる外力・自重を圧縮力というんだけど、これを、この水平丸鋼という引張の力で受け止める構造なんだよ。

八島紘一

コア子ちゃん

成程!私って、直感的に理解しちゃうタイプなので、こんな風に例えていいかしら。

これは、巨人ヘラクレスが使うような剛弓の大きな弓と弦なのよ。屋根が乗っている梁が弓で、この弓が外側に広がらないように、引っ張っているのが丸鋼、つまり弓の弦なのよね。
巨大な弓道場で弦を張った巨大な弓が、水平に弦を下にして整列して屋根を形成していると考えれば分り易くない?

力学的には、この大きなATAトラスの中で完成されているので、柱壁にはトラスからの保有耐力は伝わらないので、柱、梁はそんなに太くしなくても済むという訳ね。
そこにもATAトラスの軽量さが効果を発揮するのね。(トラスタイプ別参考表をクリックしてみてください)

さすが大学院生だね。
その例えで、ウッドコア&ATAのハイブリット工法の原理の理解は正しいと思うよ。

八島紘一

コア子ちゃん

この工法の要は、水平丸鋼なんですね。その他の鋼構造や木構造では、この水平丸鋼の威力に思い至らずに、ラーメンやトラスを使用するので、重量が2~3倍になり、結果的に10m程度しか柱スパンが取れないでいる訳ね。

木構造の軽くて、強いという最大のメリットを活かし切っているのが、この工法なんだよ。ウッドコアとATAでは、この原理により、木造では、唯一最大の無柱空間で間口40m奥行94.5mの倉庫を完成させているんだよ。(→実例集をクリックして下さい)

八島紘一

コア子ちゃん

すご~い!
ウッドコアの圧倒的な強みね!
コア子!感激!!

コア子ちゃん

ところで、
これだけ大きなものができるとなると、準耐火構造を要求されるんじゃない。火に弱い木構造は大丈夫なの?

またまた、良い質問だね。
そこは対応済のウッドコアなのさ!

八島紘一

コア子ちゃん

また始まった!
“なのさ“はいいから、今度は、早く言ってね。

木材は、燃えると表面に炭化層を作り、酸素の供給を断ってそれ以上の炭化を遅らせるか消火する性質が有るんだよ。その性質に着目して断面を割り増す考え方を燃え代設計というんだよ。

八島紘一

コア子ちゃん

アッ!分かっちゃった。構造上で重要な柱、梁の断面には最初から、燃えることが予測される断面をプラスすることで準耐火構造建築にする事ができるのね。
(注:耐火構造にも対応できます。)

その通りだよ。
例えば構造計算上、柱断面が120㎜だった場合、製材の燃え代は45㎜との実験結果となっているので120+45+45=210となり、実際の柱団面を210㎜にすることで対応できます。

八島紘一

コア子ちゃん

・・ということは、火事になっても燃え代設計分が燃える前に消し止めた場合は、十分に住むことが可能ということなの。

その通りだよ。
燃え跡部分は耐火被覆材で補修すれば、元の準耐火建築物に復元できるので居住や本来の使用に供することはOKだよ。
(注:燃え代設計の採用は、施主様との合意が必要です。)

八島紘一

コア子ちゃん

それってラッキーですよね。 鋼骨造の場合は、火災には弱くて、火災にあった建物を継続して使うことは考えられないもの。むしろ、“火災に強いのが木構造”とも言えちゃうのね。
予想外の逆転ホーマーって感じ!

だって、今までの話で、木構造システム建築は軽いので、基礎は軽くできるし、火災には、むしろ強いと言えるし、更に、鋼構造に負けない強度がある。

逆に、欠点はないの?と言いたくなっちゃうよ。
そう言えば、耐久性は、どうなのかしら。物理的な強さは理解したけど、木構造は、虫とか風雨には、弱いんじゃない。

シロアリ食害を防ぐためウッドコア建築では、腰壁を地面から65㌢立ち上げを標準とし、さらに1mの柱を防蟻処理で薬品処理するんだ。(GL+1.65m)
防蟻処理剤は、施主様のご希望によっては、液体ガラス塗料を塗布します。
これは、永久的な防蟻効果と防炎効果を発揮するものです。詳細は、 http://www.woodrescue.co.jp/index.html をご覧ください。

八島紘一

コア子ちゃん

木構造の国税庁の耐用年数は、住宅で22年間、倉庫だと15年となっていますが、これって、どうかしら!住宅は、ここでは議論しないとして、倉庫で15年間は、短か過ぎるわね。経営的には、償却期間が短い方が、メリットが出るケースが多いので、これも、木構造システム建築の利点なのかしら。

成程、さすが経営学専攻の大学院生だね。
その通りなんだ。ウッドコアの木構造の場合は、最低30年から50年は行ってほしいところだね。手入れ次第では、皆さんご存知の法隆寺が、1300年を超えていますからね。

八島紘一

コア子ちゃん

鋼構造の場合の最大の敵は錆ですよね。
木構造の場合は何かしら

それは、まず第一に食害、つまりシロアリに食われないこと。
次に、湿気による腐蝕だね。
つまり、雨水の吹き込み、雨漏れ、結露などをさせないこと。
これらを見つけたら、すぐに、処置することだね。
そうすれば、50年から100年は、行けるよ。

八島紘一

コア子ちゃん

ウッドコアの木構造システム建築は、製品として、そこのところはどのように対策しているのですか。

まず、シロアリ対策は、さっき言ったように地上2mまでは、万全の防除処理を行ってる。
また、雨水がもっとも侵入しやすいのが軒先、軒裏なので、ここは、軒先役物とガラス塗料でしっかり防護する。
結露対策は、木質部分と金属部材が触れるところを重点に対策を取る。
そして肝心の屋根材は、防湿シートをしっかり敷き込んだ上で、20年間穴あき保証のガルバリウム鋼板素地を採用しています。
外壁も、防湿シートを張り付けた上で、同じく保証付きでガルバリウムカラー鋼板を採用しています。

八島紘一

コア子ちゃん

ひぇー!大丈夫なの。そこまで鋼構造のシステム建築(Core-sys建築)の向うを張っちゃって。それで、鋼構造のシステム建築よりも、安い!だなんて、信じられないよ。

だって、叔父様の話を聞くまで、木構造は、むしろ鋼構造よりも金額が高いとばかり思ってたもの。
この間、ウッドコアの倉庫を見せてもらったけど、木構造って、本当に、あったかくて、優しくて、木の香りがしていて、癒しの雰囲気が一杯でした。この無柱空間が、システム建築よりも安く購入できるだなんて思いもしなかったわ。

歴史は、繰り返すっていうけど、再び、日本に、”木の文化“が戻ってくるのね。時代が動いていることを実感するわ。コア子、嬉しいの!(感激の涙!)

そうだよ!
時代は、“平成から令和へ、
そして”鉄、コンクリートから木構造への回帰”、
この壮大なドラマの幕が上がるんだよ。

八島紘一

コア子ちゃん

私って幸せだわ。
だって、時代が動く大きなドラマに立ち合えるのだから。じっくり見せていただくわ。

それじゃ、叔父様、終わりがないドラマの夢の話を、また、しましょうね。
今日も、楽しいお話を有難うございました。
また来るわ!さようなら!

ハイ、さいなら、さいなら!

八島紘一

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